ホテル業界にとって顧客の安全確保は、最も重要な課題のひとつです。近年、宿泊客のセキュリティへの関心が高まる中で、施設内の防犯対策は欠かせない要素となっています。

本記事では、ホテルに防犯カメラを導入するメリットと、効果的な設置方法について解説していきます。ホテルの運営に携わる方は、ぜひ参考にしてください。

ホテルに防犯カメラを設置することで得られる5つのメリット

ホテルに防犯カメラを導入することで、施設全体のセキュリティが強化され、犯罪やトラブルのリスク軽減が期待できます。まずは、代表的な5つのメリットをみていきましょう。

1. 犯罪が発生するリスクを減少させる

監視エリアの拡大とAIによる異常検知で、施設全体の安全性が飛躍的に向上します。

カメラの存在自体が強力な犯罪の抑止力となるだけでなく、AIが不審な行動（長時間の滞留、不審物の放置など）を検知すると即時にアラートを出すため、犯罪の芽を早期に摘むことが可能です。

特に、無人の深夜時間帯や人通りの少ない通路などではカメラが「目」となって常時監視するため、防犯対策として大きな意味を持ちます。

2. 事件・事故に対して迅速な対応が実現できる

防犯カメラが録画した映像は、事件や事故が発生したときの貴重な証拠です。

たとえば、トラブルが起きた際の録画によって事実関係を正確に把握でき、関係者間の誤解を最小限に抑えられます。

ほかにも、異常を検知した際にはフロントや警備室に通知が届くだけでなく、管理者のスマートフォンに情報が届くため、初動が迅速になります。これらは火災や転倒事故などの緊急事態にも有効です。

3. 宿泊客に安心感を提供する

ホテルのセキュリティ体制が可視化されることで、宿泊客は「ここなら安心して泊まれる」という印象を持ちやすくなります。特に女性客や家族連れ、外国人観光客にとって、防犯体制がしっかりしている施設はホテル選びの重要な判断材料となるでしょう。

ロビーやエレベーター前などに適切に設置されたカメラは、見守られているという安心感を演出してくれるため、リピーターの増加も期待できます。

4. スタッフの業務管理・労務トラブル防止

防犯カメラは宿泊客の安全だけでなく、スタッフ間のトラブルや業務の不透明さを防ぐ目的にも活用できます。たとえば、金銭トラブルや備品の紛失が発生した際、映像記録があれば事実確認がスムーズに行えるため、従業員同士の信頼関係の維持にも貢献します。

また、バックヤードやスタッフ専用エリアへの設置も、無断離席や業務怠慢といった問題を抑止し、サービス品質の均一化や業務効率化にも寄与することでしょう。

5. ホテルの資産を守る

ホテル内には高価な設備や備品、宿泊客の私物など、多くの資産が存在します。このような大切なものを守るためには、防犯カメラの導入が欠かせません。

特にロビーや客室フロアの出入口、貴重品ロッカーなどの場所では、監視体制を強化して、盗難や器物破損といったトラブルを未然に防がなければなりません。

実際、カメラ映像が証拠として残っていたことで、外部からの侵入や窃盗被害を最小限に食い止められたケースもあるほどです。

防犯カメラの最適な設置場所

防犯カメラの効果を最大限に発揮するためには、適切な場所への設置が重要です。
続いては、ホテルで特に設置が推奨されるエリアを紹介します。

フロント・ロビー

宿泊客や訪問者が最初に訪れるエリアであり、不審者の早期発見が求められる場所です。そのため、フロントやロビーにカメラを設置し、来訪者の動向を把握するだけでなく宿泊客に安心感も与える必要があります。

エレベーターホール・階段

館内で最も多くの人が行き来する場所のひとつです。ここにカメラを設置することで、万が一のトラブルや事故の際にも迅速な対応が可能になります。

廊下・共用スペース

お客さまや従業員の接触が多い廊下や共用スペースでは、トラブルの予防が特に重要です。防犯カメラは設備の破損や迷惑行為を抑制し、ホテル内の快適な雰囲気構築にも役立つので、必ず設置しましょう。

駐車場・出入口

外部からの侵入リスクが高い駐車場や出入口には、防犯カメラの設置が不可欠です。不審者の特定や車両の盗難・破壊行為の抑止に加え、ナンバープレートを読み取れるタイプのカメラであれば、より高い防犯効果が期待できます。トラブルの際にも証拠として活用しやすくなるため、加害者の特定や警察への通報・対応がスムーズに行えるようになります。

事務所・バックヤード

ホテルの事務所やバックヤードは、金銭管理や重要書類が保管される場所であり、不正行為のリスクも伴います。そのため、防犯カメラによる監視で、内部の不正を未然に防ぎ、資産と情報の安全も確保しましょう。

ホテル向け防犯カメラ選びのポイント

防犯カメラは種類も性能もさまざまです。
ここでは、特にホテルでの運用において注目すべきポイントを3つにまとめましたので、ぜひ参考にしてください。

高画質・夜間対応のカメラを選ぶ

昼夜を問わず鮮明な映像を記録できるカメラは、防犯の基本です。特に暗視機能付きや高解像度のカメラは、夜間に起きやすいトラブルの検知に役立ちます。

不審者の侵入や窃盗といった犯罪行為は日没後に多発する傾向があります。そのため、暗い環境でも顔の特徴や服装の色、持ち物などを識別できるかどうかは大切な選定ポイントです。

デザインに配慮したカメラを選択

ホテルの内装やブランドイメージを損なわないデザインのカメラを選ぶことも大切です。目立ちすぎず、空間になじむものを選ぶことで、違和感なく防犯体制を構築できます。

たとえば、高級ホテルや旅館では監視されているという圧迫感を宿泊客に与えないよう、天井や壁面に調和するスリムなドーム型やバレット型の小型カメラが適しています。

ただし、あまりにも目立たないカメラは防犯効果の一部である抑止力を失いかねないため、バランスを考慮しましょう。

クラウド対応カメラで遠隔監視を実現

クラウド型の防犯カメラであれば、遠隔からリアルタイムに状況を確認できます。複数拠点の管理にも便利で、より柔軟なセキュリティ運用が可能です。特に、複数の施設を経営している事業者にとっては、1つのプラットフォーム上で全施設の映像を一元管理できる点が大きなメリットです。

現場ごとの対応状況を迅速に把握できるほか、運用の効率化やセキュリティレベルの均一化にもつながるでしょう。

宿泊客のプライバシーを守る運用のポイント

宿泊施設における防犯対策とプライバシー保護は常に両立させるべき重要課題です。なぜなら、監視カメラやスタッフの巡回など安全確保のための施策が、時としてゲストのプライバシーを侵害するリスクをはらんでいるためです。

最後に、セキュリティと快適性のバランスを保ちながら、宿泊客のプライバシーを守る方法を2つ解説します。

威圧感を与えない設置場所と配置

防犯カメラを設置する際、宿泊客に過度な威圧感を与えないよう注意が必要です。必要な場所に絞ってカメラを設置し、過度に監視されていると感じさせない工夫も大事です。

たとえば、エントランスやロビーなどの共有スペースでは、カメラの高さや角度に配慮し、威圧感を軽減しましょう。建築要素に溶け込ませるなど、存在感を抑えた設置方法も効果的です。

過剰な監視環境はゲストの滞在満足度を下げるリスクがあるため、安全確保と快適さのバランスはとても大切です。

プライバシー保護を徹底し、信頼を守る

防犯カメラを運用する際は、宿泊客のプライバシーを最優先に考える姿勢が欠かせません。客室内への設置は厳禁であり、ロビーや廊下などの共用スペースに設置する場合でもプライバシーへの十分な配慮が求められます。たとえば、顔認識を防ぐ「顔ぼかし機能」を活用すれば、個人を特定されるリスクを避けつつ防犯効果が維持できます。

また、録画データの取り扱いについても、厳格な管理体制の構築が不可欠です。閲覧や操作ができるのは限られた権限者のみにし、誰がいつどの映像にアクセスしたかを記録する「アクセスログ管理」も導入しましょう。その際には、映像の保存期間をあらかじめ定め、期限を過ぎたデータは速やかに削除する運用ルールも整備しなければなりません。

万が一、映像データが外部に流出すれば、宿泊客のプライバシーが侵害されるだけでなく、ホテル全体の信用やブランド価値にも深刻な影響を与えかねません。そのため、プライバシーポリシーを明確に打ち出し、宿泊客に対する透明性の確保に努めましょう。

まとめ

AIが搭載された防犯カメラは、ホテルの安全対策を一歩進めるための強力なツールです。

本記事でお伝えしたとおり、従来の防犯カメラに比べて犯罪の早期発見やトラブルの予防がしやすく、精度の高いセキュリティ管理が可能になります。

Verkadaの防犯カメラは、複数施設の一元管理や長期間の映像保存など、ホテル業界特有のニーズに応える機能を多数搭載しています。また、カメラだけでなく入退室管理やインターホン、来訪者管理など、大きな施設をVerkadaのソリューションだけで管理できるという特徴もあります。

ホテル経営の安定性を高めるためにも、ぜひVerkadaの資料をご参考ください。