企業に蓄積したデータの活用方法として「データの可視化」があります。データの可視化とは、データをイラスト・グラフ・チャートなどでビジュアル化する手法のこと。単なる数値の羅列であるデータに価値をもたせる方法として、多くの企業が取り入れています。この記事では、データ可視化のメリットや代表的な表現方法、成功させるためのポイントについてご紹介します。
データ可視化って何のこと?
まずは、データ可視化とは何か?なぜ求められているのか?などについてご紹介します。
データ可視化とは?
データ可視化とは、膨大な数値データをグラフやチャートなどの視覚的な形式に変換し、データのパターンや傾向を直感的に理解しやすくする手法です。単なる数値であるデータを可視化することで、複雑な情報を簡単に把握し、データから得られる洞察を最大限に引き出すことができます。データから導き出せる傾向や洞察を簡単かつわかりやすく表現する手法として、経営の意思決定などの重要なシーンのほか、提案資料などにも活用されています。
データ可視化が求められる理由は?
DX化やAIテクノロジーの進化によって、企業に蓄積したデータを経営や事業の意思決定に活用できるようになりました。ただ、データはそのままでは数値の羅列であり、見ただけでは、その有用性を認識することができません。そこで求められるようになってきたのが、データをわかりやすく見やすく加工する「可視化」の手法です。データ活用の広がりに合わせて、データの可視化もニーズが高まっています。
データ可視化のメリットは?
データ活用の広がりに合わせて、ニーズが高まったデータの可視化ですが、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか?ここでは、データ可視化のメリットについてご紹介します。
意思決定がスピーディーに行えるようになる
データを可視化することで、複雑な情報を直感的に理解しやすくなり、「データの読み解き」が素早く行えます。たとえば、グラフやチャートを用いてデータを視覚的に訴えかけることで、現状把握や問題の原因、改善策の提案内容がスムーズに理解でき、経営者や管理職は素早く的確な意思決定を下すことができます。
組織全体で共通認識を持ちやすくなる
可視化されたデータはテキスト・イラスト・グラフ・チャートなどで表現されるため、数字だけ、文字だけの内容よりもイメージがしやすく、記憶に定着しやすくなります。また、情報の解釈に関する齟齬が減少するという特徴もあり、組織全体で同じ内容を共有しやくなるのです。
データが誰でも扱えるようになる
データ可視化により、専門知識がなくても複雑なデータを理解しやすくなります。これにより、データ分析のスキルの属人化が解消され、組織内の誰もが簡単に情報を扱えるようになります。結果として、データを活用できる人材の幅が広がり、組織全体のデータリテラシーが向上します。
新しい課題や気づきが得られる
視覚化されたデータからは、数字だけでは見つけられない新たな傾向や関係性を発見することができます。たとえば、データの可視化によってパターンや異常値が明確になることで、これまで気づかなかった課題や機会を特定できる可能性が高くなります。可視化という加工を施すことで、データからより深い分析、または新しいアイデアを導き出しやすくなるのです。
データドリブンな企業活動ができる
データドリブンとは、主観や経験に頼らないデータに基づいた意思決定を行う手法のことです。より合理的で成功可能性が高い意思決定が行える経営方法として、近年注目を集めています。データをわかりやすく、見やすくデータを可視化することで、このようなデータドリブンな経営に欠かせない要素です。データの可視化を積極的に行い、企業活動のさまざまな局面で活用することで、データドリブンな経営を促進することができます。
データ可視化の表現手法は?
データ可視化にはさまざまな表現手法があり、それぞれのデータの特性や伝えたい内容に合わせて適切な方法を選択することが大切です。以下、代表的な表現手法をご紹介します。
グラフやチャートで表現する
グラフやチャートは最も一般的なデータ可視化の手法です。以下のような方法でデータを表現します。
【データ可視化で活用されるグラフ・チャート】
- 棒グラフ:カテゴリー別の比較に適しています。
- 折れ線グラフ:時系列データの推移を表現するのに適しています。
- 円グラフ:全体に対する割合を示すのに効果的です。
- 散布図:2つの変数間の関係を視覚化するのに適しています。
これらのグラフ・チャートを活用することで、データの傾向や比較を直感的に理解しやすくなります。
ヒートマップで表現する
ヒートマップは、データの値を色の濃淡で表現する手法です。大量のデータを一覧で表示し、パターンや傾向を視覚的に把握するのに適しています。たとえば、地域ごとの売上データや、時間帯別のウェブサイトアクセス数などを表現するのに効果的です。
データをストーリーに落とし込む
可視化とは少し異なりますが、データをストーリーで表現する手法もあります。データストーリーテリングとも呼ばれています。データを単に表示するだけでなく、物語の形式で提示することで、データの背景や意味、そこから導き出される洞察を効果的に伝えることができます。たとえば、「企業の成長過程を時系列で示しながら、各段階での重要な意思決定とその結果を説明する」といった方法が考えられます。
インフォグラフィックを活用する
インフォグラフィックは、複雑な情報やデータを視覚的に分かりやすく表現する手法です。グラフィックデザインを活用し、テキスト、イラスト、グラフなどを組み合わせて情報を整理します。専門性が高い、または複雑なデータを一般向けにわかりやすくしたり、複数の関連データをひとつの画像にまとめたりするときに効果的です。
地図によるデータビジュアライゼーション
地理的な情報を含むデータを視覚化する際に有効な方法です。たとえば、以下のような用途で活用されています。
【地図によるデータビジュアライゼーションの活用事例】
- 地域ごとの売上データの表示
- 人口密度の分布図
- 気象データの地図上での表現
- 店舗の位置情報と周辺の人口動態の関連付け
地図を用いることで、位置に関連するデータの傾向や分布を直感的に理解しやすくなります。
なお、データを入力するだけで、このようなデータの分析と可視化が簡単に行える「BIツール」と呼ばれるソフトウェアがあります。「Tableau」などが有名ですが、このようなツールを使うことで、誰でも簡単にデータ分析・可視化を行うことができます。
データ可視化の流れと成功のためのポイントは?
最後にデータ可視化の基本的な流れと、成功するためのポイントを解説します。
データ可視化の流れ
データ可視化の流れは、大きく3つのステップに分けられます。それぞれのステップについて詳しく解説します。
情報収集と整理
まずは、社内データベース・アンケート調査・公開データなどを活用して、必要なデータを収集しましょう。次に、収集したデータから誤りや重複を除去し、欠損値の処理や異常値の確認を行います。データスクリーニングとも呼ばれる工程です。最後に、収集したデータを分析しやすい形式に整理します。
用途に合わせて表現方法を考える
データの特性と伝えたい内容に基づいて、最適な可視化手法を選択しましょう。可視化の目的(比較、傾向分析、関係性の把握など)・対象者(データを見せる相手)・データの特性(時系列・カテゴリー比較)などに合わせて、適切な表現方法を考えることが大切です。可視化データを実際に作成する際には、レイアウト・フォント・カラーなどを組みあせて、見やすくわかりやすくデザインします。
可視化したデータを共有する
可視化データ完成したら、対象者に共有します。対面でのプレゼンテーション・レポート・ウェブサイトなど、目的に合わせて共有方法を考えてみてください。
データ可視化を成功するためのポイントは?
データ可視化を行う際には、以下のようなポイントに注意して進めることが大切です。
データ可視化の目的を明確にする
もっとも重要なのが、データ可視化の目的を明確に設定することです。目的が不明確なまま進めてしまうと、収集・整形・表現方法の選定・作成・共有というすべての工程でブレが生じ、最終的なアウトプットの品質が低下したり、閲覧者に伝わらなかったりする可能性があります。
目的や用途に合わせて表現方法を考える
データの表現方法を選定する際に大切なのは、目的や用途、閲覧者のニーズに合わせて選定することです。たとえば、データの傾向や比較が表現したい場合は「グラフやチャート」、一般の方にわかりやすく表現したい場合は「インフォグラフィック」、位置と関連するデータの場合は「地図を用いたデータヴィジュアライゼーション」など、目的や用途に合った表現方法を選びましょう。また、閲覧者に配慮したデザインを構築することも重要です。
データのサイロ化を防ぐ
データのサイロ化とは、異なる部門やチーム間でデータが連携されていない状態のことです。社内でデータのサイロ化が発生していると、本来必要なデータを収集できていなかったり、データ収集や整形に時間がかかってしまったり、データ可視化の進行を妨げてしまいます。連携できていないデータはないか?分断されたデータがある場合はどのように連携するか?といった課題を解消してからデータ収集を行うようにしましょう。
データ分析は丁寧に深く行う
データ分析を丁寧に深く行うことも大切です。データ分析で、共通点や傾向、洞察などを明確にすることで、可視化したいポイントもわかりやすくなります。「強調すべきこと」「最終的に伝えたいポイント」が明快であればあるほど、最終的なアウトプットの品質も高くなるので、丁寧に慎重に分析を進めましょう。
まとめ
数字の羅列であるデータは、グラフやチャート、インフォグラフィックなどでわかりやすく可視化することで、より多くの人に理解してもらえる有益な情報になります。データ活用やデータ分析を行う場合は、それと合わせて可視化の方法を考えるようにしてみてください。
なお、Liberty Data Designには、TableauをはじめとしたBIツールに精通したスペシャリストが在籍しています。丁寧なヒアリングをもとに、導入の提案からデータ分析の可視化まですべてのプロセスをサポートしているので、「データ分析を行いたいが社内にリソースがない」「データ分析で思ったような成果が出ない」という方は、ぜひお気軽に問合せください。